法話「空き缶にタバコの吸い殻」

過去に行った法話の一部をご紹介します。

私は犬を飼い始めて4年たちます。保健所に勤務しているときに、飼えなくなったので引き取ってもらいたいとの申し出があり、保健所で新しい飼い主を探していた大人の犬2頭のうちメスをうちで飼うことになりました。とても大人しいですが、しつけはあまりされていないため、散歩のときにはリードをグイグイ引っ張りながら歩きます。

はじめのうちはしつけをしようかと試みましたが、10年以上そのような飼い方をされていたため、なかなか治らなかったことから、なんとか人のペースで歩けるくらいにはしつけたつもりです。もう15歳くらいになります。

この犬を飼い始めてから毎日散歩をしていますが、はじめうんちを取るためにコンビニ袋だけを持って歩いていましたが、拾いにくいことから割り箸を持って行って袋に入れることにしました。毎日新しい割り箸を使うのはもったいないので、お弁当を食べた時には割り箸を持って帰ること、うんち用の箸は、汚れや傷みがひどくなってきたら交換することとして、それまではくり返し使うこととしています。いわゆるSDGsですね。

この世の中よくできたもので、割り箸に若干残ったうんちは、裏庭に置いておくと翌朝にはナメクジがきれいに掃除してくれています。まさにWIN-WINの関係です。

さて、犬の散歩を始めてから2週間ほど経った頃でしょうか。道端に落ちたゴミが目につき始めました。犬を散歩させながら自分の犬のうんちだけを拾っていましたが、どうせならそのゴミも一緒に拾えば袋を有効活用できると思い、それ以来ゴミ拾いをするようになりました。

一番多いのは、やっぱりタバコの吸い殻です。あとはたぶん犬の散歩のときなどに使用したと思われるティッシュやタバコの空き箱、お菓子の袋や使い捨てマスクなどがあります。

空き缶は拾って近くの自動販売機の横のゴミ箱に入れたり、傷んでいる場合は持ち帰って燃えないゴミの日に出しています。ゴミの種類でも、ひどいものは、コンビニ袋にお弁当やペットボトル、空き缶などが一緒に入った状態で捨てられています。きっと車からポイ捨てしたのでしょう。自分のまわりからごみが無くなればいいという非常に無責任な大人がいるのは今も昔も変わらないようです。こういうとき非常に腹が立つのですが、一度袋を開けて、燃えるゴミと燃えないゴミに分別しています。

そうした中、非常に困ったゴミに遭遇しました。タバコの吸い殻が目いっぱい詰め込まれた空き缶のポイ捨てです。これを捨てた人が私には理解できないのです。もちろんタバコを吸わない私ですから、特に理解できないのですが。これを捨てた人はタバコは普段から吸っているのでしょうから、基本的にはマイ灰皿を持つことが常識ですが、身の回りにないとき、喫煙者が自分が飲んだコーヒーの空き缶なんかに吸い殻を入れているのを目にしますね。その繰り返しによって空き缶いっぱいに吸い殻がたまってしまったと。空き缶のリサイクルにとって、タバコを入れてしまうと非常にきれいに中を洗わないとリサイクルできない代物です。ただ、まあここまでは昔からよくある話です。ではこの缶をどう処分するつもりで使い続けてきたのでしょうか。きっと後先考えず使ってきたのでしょう。自分から吸い殻を取り出して捨てる人も中にはいるのでしょうが、あの小さい飲み口から吸い殻を取り出すのは至難の業です。今回、空き缶もアルミ製で、傷みもあったので、ペンチで開いて中を取り出して燃えるゴミに、空き缶部分は燃えないゴミとしました。中は燃えるゴミなのに外は資源ゴミもしくは燃えないゴミなので、そうした煩わしさで、つい道路わきにポイ捨てしたのでしょうか。ではそれを誰が片づけるか考えたのでしょうか。やっぱり自分の周囲からゴミがなくなればいい、それだけの観点しかないはずです。そういう大人がいることで、この社会がうまく回らないことだってきっと多いのではないかと、つまり、この問題はゴミだけの話ではなく、人が生きる上で、自分がやりたいようにやって、それ以外に迷惑をかけていることを全く考えようとしない人がいるわけです。そして、それは犯罪者ではなく、ごく普通の隣人がやっていたりするわけです。開祖がおっしゃられた「正直者がバカを見ない世の中をつくる」ため、「半ばは自己の幸せを、半ばは他人の幸せを」のとおり、半分は他人や社会のことを気にかけて生きていくべきだと思うのです。

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